懲りない犬
その後、てっきり柴犬ショックで恐怖症にでもなったかと思いきや、相変わらずまったく人も犬も恐れることなく、突進してゆく有様だ。
懲りていないようだ。
・・というより、どうやら柴犬に噛まれたのがほんの一瞬過ぎたようだ。
痛みもその時はそれ程でもなかったのだろう。 単にびっくりしてきゃんきゃん言ったに過ぎないのだと思われる。
帰宅してからのあの振るえは恐怖からではなく、耳の奥に液体が流れ込んで行くことで起きた異常な音に反応していたのだろう。
つまり、他の犬に噛まれた事と、この不快音とが結びついていないのだと思われる。
その後の処置も早かった為、彼は恐怖という物をほとんどその身に植えつけられてはいないのだ。
なんとも幸せな犬だ。
もう少しほっときゃよかったと、今更ながらに思う。
今更ながらに、・・・
今だからこそ・・・
私はここ最近、この言葉に敏感になっている。
今、この瞬間の自分の判断や決断が後の結果を大きく左右させるのだ。
今、誤った判断をしたら、後で沢山大変な事が起きるのだ。
ひょっとしたら、ちゃー坊は死んでいたかもしれない。
自分が彼の異変に気付かず、大げさに騒ぎ立て、病院に連れて行かなかったとしたら・・・。